midg

SEMINAR REPORT

INFORMATION & SEMINAR REPORT

開催されたセミナーの詳細をお知らせします

2015年度総会レポート3を更新しました!!

総会も最後のレポートとなります。今回は、経営の部として最後に講演させて頂いた荒井の「歯科の未来展望」についてご紹介いたします。

その前に、今年度の総会も多くの賛助会員企業様にご参加頂きましたのでその様子をお届け致します。
只今、賛助会員企業としてご協力頂いている会社様は66社となりました。歯科に直接関連した歯科医師ならどなたでも知っているであろう企業様から、間接的ではあるけれども大きくMID-Gを支えてくださっている企業様まで、当日はブースを設けてご参加頂きました。

DSC_9358

DSC_9366

今回は、賛助会員担当の佐藤より、賛助会員様に作成頂いた動画をご紹介致しました。拘って作って頂いたこともあり、参加者の皆様の興味もわいたのではないでしょうか。休み時間には、ブースに立ち寄り、詳しい話を聞いたり、パンフレットをもらったりする様子も。今後は賛助会員企業様によりセミナーなども予定しております。会員の皆様に有益な情報と、最新のサービスを届けられるよう、事務局としても力をいれていきたいと思っています。今後の情報にご期待ください!
動画制作にご協力下さいました企業の皆様、ブース出展並びにMID-G限定のサービスをご用意下さった企業の皆様、日頃から支えて下さっているすべての企業様に、この場を借りて御礼申し上げます。

DSC_9693

さて、それでは経営の部のご紹介を致します。今回、荒井が取り上げたのは、「予防歯科の取り組み」です。
皆さん、「予防」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?予防と言っても具体的に、どのように予防したらいいのか想像できますか?これからの向こう1年程は、おそらく歯科界の大きなテーマは予防です。

DSC_9650

その予防を語る前に、【嚥下5期】というのをご紹介致しました。先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の5つです。このうち、歯科医師が関われるのは準備期だけ。ですが、今、介護の現場では嚥下に関する問題が広く取り上げられています。
年をとると、舌が口蓋に触れられなくなり、食べ物を飲み込む力が弱くなります。そうなると、誤嚥気道に入ってしまい、むせる。最悪の場合は誤嚥性肺炎を引き起こしてしまいます。
近年の保険点数の改定で、接触嚥下障害も点数が多くつくようになりました。歯科業界で働く以上、そのことも頭にいれておいてほしい。その言葉から荒井の講演は始まりました。

「予防歯科」に取り組む前に、「予防とは何でしょうか?」ということについて考えてみましょう。体には歯以外にも大切な臓器がたくさんあります。その予防はどのように行っていますか?
予防には、3種類あると考えられます。

・1次予防 日々のケア
・2次予防 病気になる前の措置
・3次予防 再発防止

医療が関われるのは、2次~3次の間だけです。しかも、歯科の場合は一度でも歯が悪くなった人しか病院を訪れない傾向にあります。(悪くないのに歯医者に初めて来るという人はなかなかいない)そんな日本に、予防歯科を取り入れるためにはどうしたら良いのでしょうか?

DSC_9863

実は、予防歯科がなかなか浸透しない要因の一つに、【予防歯科は保険適応外】ということがあります。メインテナンス(※今後歯科では、メンテナンスではなくメインテナンスに統一)が自費ということは、最初から患者さんにはそのつもりで治療計画を立てなければなりません。そうなると、初診時のハードルがぐんっと上がってしまうのです。患者さんにはもれなく、内容、期間、金額は伝えなければなりませんので、そこで何を行うか、どのようなメリットがあるのかなどを的確に説明できなければ、やはり患者さんにとっては手の届きにくいものになってしまうのではないでしょうか。しかしながら、その予防治療に何を行っていいのかの答えが出ないのも現状です。

そんな中、注目されているのがSPTと呼ばれる予防処置で、保険適用の治療です。SPT(Supportive Periodontal Therapy)とは、安定期治療のことで治癒の一歩手前に行います。主に、定期健診、メインテナンス処置、清掃指導、フッ素塗布などを、衛生士が中心となって進めます。SPTは、以前はそこまでの注目を浴びていなかったのですが、この度2016年の診療報酬改定にて、SPT(Ⅱ)が新設されました。これは、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の認定を受けることで、保険点数の加算が可能となるという改定で、この「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」というのが、今後のキーワードとなるのです。かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所になるには、さまざまな条件をクリアすることが必要です。例えば、衛生士がいる、それに付随する研修を受けている、緊急時対応の体制などがあります。項目がいくつもあってクリアするのは大変かもしれませんが、今後は施設基準が厳しくなり、その基準を通るか通らないかで保険点数が変わってくるということが考えられます。「施設基準はこの1年に通っておく必要がある」と、荒井も強く訴えました。

今まではどんな治療方法も保険か自費かで選択の余地がありました。そうなると保険のSPTがあるのならば、自費のSPTもあっては良いのではないかと考えられます。しかし、SPTの自費を実現するには、内容、期間、費用、法律、混合診療との兼ね合い、初診時の説明など、いくつかの課題があります。また、口コミで「あの歯医者さんはメインテナンスも自費なんだよ」ということが広まると、なかなか患者さんが足を運んでくれなくなる可能性も考えなければなりません。まずは、SPTの理解と実践をするべく、荒井自身のクリニックも、今施設基準クリアに向けての準備を整えているところで、衛生士にSPTの試験も実施しています。

口腔内の環境は、昔よりもどんどん良くなっています。今では12歳以下の子どもにほとんどむし歯はなくなってきています。日本はそれでもまだむし歯があるほうで、世界を見てみると、もっとむし歯は減ってきているのです。子どもが減り、むし歯がなくなってくると、いよいよ予防すらなくなってしまうという未来が考えられます。歯科医師はこれからもプライドを持って仕事に取り組むことが必要です。そして、決して貧しくない今の日本に対して、「安くて最高の治療」というのは日本人の歯に対する意識を堕落させてしまうということをよく頭にいれ、歯科業界を生き抜いていくことが重要となる、と荒井は締めくくりました。
テーマは予防歯科でしたが、さまざまな歯科にまつわる問題を投げかけた今年の荒井の講演を、皆様はどのように受け止めたでしょうか。来年度はいろいろなところに興味関心を向け、視野を広げ、開業医ならば院長として医院の指針を、勤務医であれば自分の身の振り方をよく考える年にしたいですね。

この総会で締めくくられましたMID-Gの2015年度。来年度も更にパワーアップしたMID-Gをお届けできればと思っております。皆様、どうぞ宜しくお願い致します!